ヨーロッパサッカー界において選手やクラブがオリンピックを優先しない理由
アジアや北中南米・アフリカなどと同様に、ヨーロッパにおいてもオリンピックというスポーツ大会は極めて大きな注目を集めます。そして、ヨーロッパ各国は最高レベルの選手達をオリンピックに派遣しますが、サッカーという競技だけは事情が異なります。
ヨーロッパではオリンピック開催イヤーに、4年に一度の「欧州選手権」という大きな大会が開催されます。
サッカーのワールドカップにおいてヨーロッパ枠はそんなに多いとは言えず、本大会に出場できるのは一握りの強豪国だけです。アジアやアフリカなどの新興国枠はどんどん増加していますが、まだ欧州トップレベルの国には及びません。そして、実力が発展段階にある国同士の試合は、プレーの質が低くて玄人ファンを満足させられない部分があるとも言われます。
一方、予選を勝ち抜いて欧州選手権出場を果たした国はすべて技術レベルが高く、決勝トーナメントだけでなく1次リーグでも各試合で質の高いプレーが見られます。当たり・外れがありません。大会全体のレベルはワールドカップを凌駕するとも言われているほどです。一方、オリンピックの男子サッカーは、まだ選手として成熟しきっていない23歳以下の若手が出場する種目だけにそんなに質の高いプレーを期待できません。そんな中、オリンピック開催イヤーにおけるサッカーファンやメディアの関心は五輪の男子サッカーではなく、規模が大きくて年齢制限もない欧州選手権のほうに向かいます。
そのため、23歳以上の選手は、たくさんの人に自らのプレーを見てもらえる欧州選手権出場を優先しようとします。
クラブとしても欧州選手権に選手を派遣したほうが商品価値をより高められる可能性があるため、注目度が低いオリンピックへの選手派遣には消極的です。